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ヘッドアンドショルダー(三尊):ネックライン・確定条件・目標値

三つの山とネックラインでできた形です。ネックラインを終値で割って完成し、目標値は到達確率ではなく計算です。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 22/52· ⏱ 読了目安 5分 ·情報更新 2026-10-07
📋 基本情報4
要点
最も高い頭と左右の肩、二つの谷を結んだネックライン
確定
ネックラインの下で終値が付いて完成、それまでは候補
計算
頭からネックラインまでの距離を、割れた地点からもう一度下に取った値
注意
目標値は大きさを移した計算であって、到達確率ではない

三つの山とネックライン

ヘッドアンドショルダー(三尊天井)は、三つの山でできた形です。真ん中の山である頭(ヘッド)が最も高く、両側の左肩と右肩は頭より低くなります。山と山の間にできた二つの谷(安値)を結んだ線をネックラインと呼びます。上昇トレンドが続いたあとに現れると、天井で流れが変わる反転型として説明されます。先に上昇がないまま似た形が見える場合は、同じ意味には受け取らないのが普通です。この形を参加者の行動として読むと、左肩までは上がるたびに新しい買い手が付く普通の上昇です。頭で新しい高値が出ますが、すぐに先の谷の近くまで押し戻され、右肩では買いの力が価格を頭の高さまで押し上げられません。高値で買った人たちが買値近くで売る機会を待ち、新たに買う側が減っていく過程として説明されます。形を読むときは、先行する上昇が十分に長かったか、三つの山の間隔がある程度そろっているか、二つの肩が同じくらいの高さかを順に見ます。肩の高さが大きく違ったり、山と山の間が足数本しかなかったりすると、この名前を付けるのは難しくなります。

  • 左肩:上昇途中の高値と、そのあとの押し
  • 頭:左肩より高い新しい高値と、ネックライン付近までの下落
  • 右肩:頭を超えられずに折り返した高値
  • ネックライン:二つの谷を結んだ線。水平でなく傾いていてもよい

完成はネックラインを終値で割ったとき

三つの山ができただけでは、まだヘッドアンドショルダーではありません。教科書的な定義でパターンが完成(確定)するのは、価格がネックラインの下で終値を付けたときです。ヒゲだけがネックラインの下に出て、再び上で引けた足は、ふつう確定とはみなしません。トレンドの構造で見ると、右肩は初めて現れた「切り下がった高値」です。ネックラインが水平に近ければ、ネックライン割れは直近安値を終値で割ったのと同じことになります。「トレンドの判断方法」の記事で扱った、上昇の構造が崩れる瞬間に名前を付けたものといえます。どの時間足の終値で判断するかによって、同じチャートでも確定のタイミングが変わります。終値を基準にするのは、場中の動きが簡単にひっくり返るからです。ネックラインのすぐ下には損切り注文が集まっていて、ヒゲが一時的に下に出やすいのですが、引けまでその下にとどまったなら、その価格で買う側より売る側が多かったと読みます。確認の順序は、右肩が頭より低い位置で折り返したか、ネックラインを二つの谷に合わせて引いたか、その下で足が引けたか、です。終値を待つあいだに価格がすでに大きく下がっている場合があるのが、この確認の代償です。

終値で下抜け左肩頭右肩ネックライン目標値
例: 架空の価格で描いたヘッドアンドショルダーです。右肩のあと終値がネックライン(118)の下で引けて完成し、頭の高値145からネックラインまでの距離27をネックラインからもう一度下に取った91が目標値です。下の段は、教科書が説明する出来高の典型(右肩で減り、割れたときに増える)をまねたものです。

目標値:頭からネックラインまでの距離

ヘッドアンドショルダーで最もよく引用される計算が目標値です。頭の頂上からそのすぐ下のネックラインまでの縦の距離を測り、同じ距離をネックラインを割った地点から下に取ります。上の図では頭の高値が145、ネックラインが118なので距離は27、目標値は91です。ネックラインが傾いている場合は、頭の真下のネックラインの値で距離を測り、実際に割った地点のネックラインの値から差し引きます。幅の大きいパターンでは金額ではなく比率で移す人もいて、目標値が一つに決まるわけでもありません。この数字はパターンの大きさを価格に移してみた参考値であり、価格がそこまで行くとか、そこで止まるという意味ではありません。この計算が使われるのは、パターンの中で上下した幅と同じくらい、割れたあとも動くことが多かったという経験則によるもので、検証されたルールではなく観察から生まれた説明です。よくある錯覚は、目標値を必ず届く値のように考え、その間にある以前の支持帯や価格帯別出来高の厚い所を見ないことです。目標値までの途中に長くとどまった価格帯があればそこで先に止まることもあり、大きな時間足のトレンドがまだ上昇なら、下落幅が小さく終わることもあります。

出来高についての古典的な説明

古典的な説明では、出来高が左肩や頭で多く、右肩で目立って減り、ネックラインを割るときに再び増える姿を典型とします。右肩の少ない出来高は、新しい高値を作るだけの買いが入らなかったという意味に解釈されます。最初の図の下の段(出来高)が、その典型をまねたものです。ただし、これは典型的な図についての説明であってパターンの条件ではなく、実際のチャートの出来高はこれほどきれいでないことが多いです。暗号資産の出来高は取引所ごとに別々に集計されるため、一つの取引所のチャートが市場全体を代表しないという点(「出来高の見方」の記事)もあわせて覚えておきましょう。出来高は、同じ時間足の最近の平均と比べて初めて意味を持ちます。割れる足の出来高がふだんより明らかに多ければ、多くの参加者が同じ価格を意識して動いたと読み、ふだんと同じくらいなら根拠が一つ弱いと見る程度です。出来高が典型と逆でもパターンが無効になるわけではありませんが、確定を判断するときに頼れる根拠がそれだけ減ると考える人が多いです。

逆ヘッドアンドショルダー:底で逆さになった形

上下をひっくり返した形が逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)です。下降トレンドのあとに安値が三つでき、真ん中の安値である頭が最も低く、二つの山を結んだネックラインを終値で上抜けたときに完成します。目標値も同じ方法で、頭の底からネックラインまでの距離を上抜けた地点から上に足します。古典的な説明では、底型のネックライン突破で出来高が増えることを、天井型より重く見ます。価格は買い手がいなくても下がりうるが、上がるには新たな買い手の参加が必要だ、という説明が添えられます。参加者の行動で見ると、頭では持ちこたえられなかった人たちの売りが集中し、右肩ではそれより安い価格で売ろうとする量が減ったと説明されます。ネックラインは先の戻りの高値なので、その近くでは買値で売ろうとする注文が待っていることがあります。ネックラインが下に傾いていれば比較的低い価格で突破が出て、上に傾いていればより高く上がらないと確定しないため、同じ形でも確定する地点が変わります。

ネックライン終値で上抜け左肩頭右肩リテスト
例: 架空の価格で描いた逆ヘッドアンドショルダーです。二つの山を結んだネックラインを終値で上抜けて完成したあと、価格がネックライン付近に一度戻ってから再び離れていく姿(リテスト)まで描いています。リテストはいつも来るわけではありません。

ネックラインへの戻り(リテスト)

ネックラインを抜けたあと、価格が再びネックライン付近に戻ってから離れていく姿がよく描かれます。上の図の右側のように、突破前は抵抗だったネックラインが今度は支持の役割をすると説明され、「支持線・抵抗線の引き方」の記事で扱った役割転換の一例です。リテストを確認してから判断すれば根拠が一つ増えますが、リテストなしに離れていく場合は取り逃がします。逆に、戻ってきた価格がネックラインを越えて元の側で終値を付ければ、先の突破がダマシだった可能性を考えることになります。リテストが必ず来るという保証はありません。サポート・レジスタンス自動検出ツールは、スイング高値と安値の両方が出た価格帯に「転換」の印を付けるので、ネックラインのように役割が変わった価格帯を探すときの参考になります。リテストが起きる理由としては、突破のときに買えなかった人がネックライン付近で買おうとする動きと、突破前に買った人の一部が買値近くで手じまう動きが重なる、という説明が添えられます。リテストを見るときは、ネックラインの反対側で終値が付かないか、戻ってくるあいだに出来高が減っているかをあわせて確認します。

完成前に名前を付けてしまう失敗

最もよくある失敗は、右肩ができている途中で、すでにヘッドアンドショルダーと呼んでしまうことです。その時点の形は、上昇トレンドの中で調整が2回あったチャートと区別がつきません。下の図のように、ネックラインの上で再び上がって頭を超えれば、同じ足はただの上昇トレンドの一部になります。過去のチャートから完成した例だけを集めるとパターンがよく当たるように見えますが、それは完成しなかった候補には名前が付かず、記憶に残らないからです。チャート予想クイズのように右側が隠された実際のチャートで判断してみると、この違いを直接感じられます。この失敗を減らす方法は、候補の段階で条件を先に書いておくことです。ネックラインの下での終値が出るまでは名前ではなく候補と呼び、反対に候補が崩れたとみなす価格(たとえば頭の高値の上での終値)もあわせて決めておきます。そうすれば、右端で価格が揺れるたびに解釈を変えることが減ります。

ネックライン左肩頭右肩の候補ネックライン上で反発
例: 架空の価格です。頭と右肩の候補までできましたが、ネックラインの上で再び上がって頭の高値を超えました。ネックラインを終値で割っていないので、これらの足はヘッドアンドショルダーではなく、上昇トレンドの一部として残ります。

この記事が述べないこと

ヘッドアンドショルダーの成功率や目標到達率として出回っている数字がありますが、肩の高さの差・ネックラインの傾き・期間をどう判定したかによって結果が大きく変わり、ここでは確認できないため載せていません。この講座がバイナンスの10銘柄の日足(各銘柄の上場日〜2026年9月)で直接測ったのは、足数本の比率で定義を書けるローソク足パターンと指標シグナルだけで、その結果は「チャート分析の限界とよくある錯覚」の記事にまとめています。ヘッドアンドショルダーは、どの山を肩とみなすかという段階から人の目が入るため、同じ方法で測るには先に判定ルールを決める必要があります。この記事は形の読み方を説明するだけで、パターンが見えたときに何をすべきかを示すものではありません。まとめると、この記事で扱ったのは定義と確定条件、目標値の計算方法、そしてそれぞれが持つ限界です。同じ形を見ても、判断は各自の基準と責任にかかっています。

暗号資産と株式で違って見える点

暗号資産は24時間休まず取引されるので、足と足の間にすき間がほとんどありません。そのためネックライン割れも連続した足の中で起き、日足の終値は取引所が決めた締めの時刻によって変わります。株式は通常取引の終了後のニュースが翌日の始値にまとめて反映されるので、ネックラインの上で終わった翌日に、窓を開けてネックラインの下から始まることがよくあります。この場合は割れた地点が窓の中にあるため、目標値をネックラインから取るのか始値から取るのかから人によって違います。値幅制限も違います。韓国株は1日±30%に制限されていて大きな割れが数日に分かれて見えることがありますが、暗号資産と米国株には銘柄ごとの1日の制限がありません。出来高の性格にも差があります。サムスン電子やSKハイニックスのような韓国の大型株は決まった市場の集計なので比較的代表性がありますが、暗号資産は取引所ごとに別々に集計されます。値動きの大きい暗号資産では、同じ日足のヘッドアンドショルダーでも山と山の間の上下が大きく、ヒゲがネックラインをまたぐことが多い一方、米国の指数や大型ハイテク株のように取引の多い対象は比較的なめらかな形に見えやすいです。

実践でのチェック順序

リアルタイムのチャートでこのパターンを見るとき、特に気をつけたいのは進行中の足です。いま動いている足にはまだ終値がないので、場中にネックラインの下にあっても、引けで上に戻れば確定ではありません。また山は、その右側に低い足がいくつかできて初めて高値として確認されるため、高値を自動で探すツールは右端で印を遅れて付けたり、あとで動かしたりします。更新のたびにシグナルが変わる画面なら、確定した足で確かめ直します。

  • 先行する上昇があったか(なければ反転型として読まない)
  • 頭が両肩よりはっきり高く、山の間隔がそろっているか
  • ネックラインを二つの谷に合わせて引き、傾きを確認したか
  • 確定した足の終値がネックラインの下か(進行中の足は数えない)
  • 割れた足の出来高は、同じ時間足の最近の平均と比べてどうか
  • 目標値までの間にある以前の支持帯と、大きな時間足のトレンドはどうか
  • 候補が崩れたとみなす価格を先に書いておいたか

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